経営陣から見る近代欧州サッカークラブの歴史 マンチェスターユナイテッド編 中編

 前編を出したのは約二年前でしたが、続編を書いてみようと思います

さて、前編ではオーナーのグレイザー家に注目し、その買収の仕方、なぜファンに嫌われてしまっているか、を書いてみました

↓前編のURLです。気になっていただけたらどうぞ

https://domidomifmfootball.blogspot.com/2021/01/blog-post_10.html



中編ではクラブの稼ぎ方と、クラブの運営方式にについて書いていきます。あくまで素人考えであることに留保していただいて読んでいただけたら、と思います。


デロイトのフットボールマネーリーグを見てみよう

ここで参考にするのはデロイトのフットボールマネーリーグ。素人が意訳するので、間違いも散見されると思うのですが、その際は、ぜひご指導いただければ嬉しいです

↓デロイトのフットボールマネーリーグの最新作20/21シーズンのURL

https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/uk/Documents/sports-business-group/deloitte-uk-dfml22.pdf

ユナイテッドは今季5位。しかもユナイテッドがランクインする順位としては最下位だそうです。

ここ五年で1位-3位-3位-4位-5位と、ランキングが右肩下がりな様子が見て取れます。これは他クラブよりコロナの状況から回復が遅いこと。それとは別に、他ビッククラブと比べるとピッチ内の成績が不安定、などが挙げられそうです。


Swiss Ramble氏の分析

少しでも欧州サッカーのファイナンスに興味があるなら、フォローをお勧めするSwiss Ramble氏のTwitter。2021年の5月にマンチェスターユナイテッドの分析があったので、それを引用しながらみなさんにお伝えしていきます

グレイザーズは2005年6月に5億5000万ポンドのレバレッジド・バイアウトによって#MUFCの経営権を得たので、彼らの最初のフルシーズンは2005/06年であった。したがって、このレビューでは、それ以降、2019/20年までの15シーズンを見ていきます。

#MUFCは選手に対して10億ポンドの純支出をしたが(購入14億ポンド、売却4億ポンド)、ほぼ同額(7億400万ポンド)をグレーザーが借り入れたローンの利子に費やした。インフラ(スタジアムとトレーニング場)には1億8500万ポンドしか使われなかった。したがって、融資前のキャッシュフローは5700万ポンドとなった。

2010年以降、#MCFCと#CFCのオーナーがそれぞれ11億ポンド、5億7000万ポンドと多額の資金を提供しているのは当然として、#MUFCの2億9700万ポンドは#AVFC、#EFC、#BHAFC&#LCFCにも遅れをとっています。また、ユナイテッドの資金は株式発行によるものなので、グレイザーズからの資金というわけではありません。 

利払いが悪いと思うなら、配当金を見るまで待て。#MUFCの1億2200万ポンド(2020年には年間約2300万ポンド)は、やはり断トツの高さである。実際、#WBA と#LUFC は一度限りの支払いだったので、現在プレミアリーグで配当金を支払っているのは彼らだけである。 

多くのクラブが選手売却で利益を上げているが、#MUFCは過去11年間でこの活動から2億9100万ポンドしか得ておらず、#CFCの7億700万ポンド、#LFCの5億5200万ポンドを大幅に下回っている。これはビッグ6の他のチームよりも低いだけでなく、#EFCや#SaintsFCよりも悪いのです。

その結果、#MUFCの移籍市場における10億ポンドの純支出は、2010年以降のプレミアリーグで、隣国の#MCFCの11億ポンドに次いで2番目に高く、3位の#CFCの6億4100万ポンドとはかなりの開きがあることがわかった。 

#MUFCはこの11年間、インフラに1億1800万ポンドしか使っていない。もちろん、これは#THFCの14億ポンド(新スタジアムとトレーニング場)に圧倒されるが、オーナーが将来に投資している#MCFCの3億7800万ポンド、#LFCの2億3800万ポンド、#BHAFCの1億8100万ポンド、#AFCの1億3200万ポンドと比べても低い数字である。

30以上にもなるツイートスレッドからいくつかを抜粋、引用し、自動翻訳にかけました。



 さて、他クラブと比べると、ユナイテッドの特殊さが浮き彫りになりました。

負債を抱えていなかったユナイテッドにレバレッジドバイアウトという手法で買収したため、クラブが負債を負っている現状。

ユナイテッドは資金提供において、チェルシーやマンCのようにオーナーから多額の額を受け取っているのではなく、株式の発行で資金を捻出しており、前に挙げたクラブの約4分の1しか受け取っていない。

他クラブよりインフラ面の投資金額が少なく、徐々に他クラブよりスタジアムで稼ぐパワーが落ちてきているということ。

そして、移籍の場合では選手売却の下手さがあり、獲得面では資金をシティに並ぶほど使っているのにタイトルをもたらせていない。さらに、配当金の形でユナイテッドの稼いだお金がグレイザー達にわたっている

なかなか読むのがしんどいですが、これが現実のようです

さらに気になった方は是非、本ツイートをご確認いただけたら、と思います

https://twitter.com/SwissRamble/status/1389458677061591042?s=20&t=J8-QLiOkmHRaaGY3aCMHoQ

スポンサー契約を見てみよう 

adidas 

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サプライヤー契約 契約当時、一年間で受け取る金額の世界記録を更新(年間:107億円)。10年間で1300億円が保証される巨大契約

(比較 ナイキ&PSGが単年:91億円 アディダス&レアル 単年:149億円 ナイキ&バルサ 単年:152億円)

プレミアリーグで長いことサプライヤー契約金額の一位だったものの、2020年次にCL獲得したリヴァプールがナイキとの契約が年間:114億円と報道。

王者の立場になったリヴァプールがやっと上回ったレベルであることが逆にユナイテッドの契約の大きさが窺える

team Viewer 

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21/22シーズンからの胸スポンサー。シボレーとの契約が年間97億円で、欧州サッカー界で一位の胸スポンサー料だったのだが、チームビューアーとの契約は減額の年間71億円と報道。

しかし、注意しなければならないのはコロナ禍であることで、パンデミック下で交わされたスポンサー契約ではナンバーワンの金額とするメディアもあった。

tezos 

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トレーニングキットスポンサー、ブロックチェーンプラットフォームの企業であり、スポンサー料は年間38億円と報道。

kohler

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シャツスリーブスポンサー。(袖口スポンサー)水回りの機器のメーカーらしく契約料はわからず。ご存知の方は是非コメントください。

意思決定のシステム変更

さて、ここでは、ユナイテッドの移籍を取り仕切るフロントにスポットを当ててみたいと思います。

というのは、前編を書いた二年前とはフロントの状況が一変しているためです。

ファーガソン&ギルの退任以来、エド・ウッドワードCEOがファイナンス面も、スポーツ面も取り仕切っていました。

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しかし、2021年の3月に、フットボールディレクターにジョン・マートフ、テクニカルディレクターにクラブOBのダレン・フレッチャーが就任。

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そして、ウッドワードが2021年度末をもってクラブを離れ、新たなCEO、リチャードアーノルドが就任したことで、ファイナンス面はリチャードアーノルド。スポーツ面はマートフ&フレッチャーが取り仕切る、というふうに部門ごとに専門化されるようです

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今まで、ウッドワードというフットボール界における素人が、魑魅魍魎のエージェントや他クラブと交渉してきた、ということこそがそもそもおかしいのですが、今回のFD&TDの設立で、より良いクラブマネジメントが望めます。

さらに、ラングニック暫定監督就任時には、このマートフ&フレッチャーコンビが仕事をした、との報道もありました。そして、そのラングニックもコンサルとして今夏からフロントに入るようなので、これからのユナイテッドフロントには期待が集まります。


PS.ラングニックがコンサルとして相談役に入る、とばっかり思っていたのですが、ラングニックがオーストリア代表監督に就任する、とのことでユナイテッドから完全に離れることを発表。書き上げた当日の一報だったので大変驚きました!

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